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人生が終了する

 一つ目は基本的なもの:

 それだけの手間と時間を掛けて仕込んだのなら、それに見合った活躍の場とチャンスを与えるべきだったのに、会社はそれに応えなかった。老舗の会社だけに、年功序列最優先で新人を飛び級扱いさせる訳に行かず、考えに一貫性が無かった。


 宇宙飛行士に、箒を持たせて庭掃除させるようなもの。大きな期待を寄せ夢を抱かせてから、結果的に新人をあからさまにがっかりさせたのだから、当人にしてみれば圧倒的な欲求不満を起した。


 長い研修の末に配属された輸出部門で、(辞める直前の)上役は組織上こんな具合であった:私→W主任→A課長→H部長→S専務→T社長。私は誰をも好きではなかった。特に最終ランクのT社長は仕事そっちのけで俳句ばかり作っていたから、ロクでもないと考えていた。


 少なくとも私は「主任ランク」扱いからスタートすべき、と思った。それより下は無いと考えていたから、大分ど厚かましい新入社員であったに違いないが、前例のない現象として、慣れない上司が宇宙飛行士の扱いに手こずったのだ。


 それはともかく、平社員から始めていては時間が掛かり過ぎると考えた。安定していて確かにいい会社だったが、老舗である事が一つの欠点だった。ノロノロと手順と時間が掛かり、せっかちな私は、出世する前に人生が終了してしまうと心配したのである。今にして思えば、基本的に私はサラリーマン稼業に向いていなかったと思う。社内で配偶者を見つけたのは悪くはなかったが。


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