案外深読み
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日経(日本経済新聞)の最終ページに「私の履歴書」という新聞社伝統の欄がある。毎日掲載され、大体欠かさず読んでいる。成功者や業界の第一人者が書いている。どういう基準で執筆者を選ぶのか知らないが、学者や作家もいるし、(多くはないが)時々海外の人も混じっている。
生まれから、学校生活、世に出てからの仕事、配偶者の話、歳をとって現在までを、30回くらいのシリーズで書いている。順序はどの人も変わらないから、そのようなスタイルで書くように新聞社から依頼されるのだろう。不思議な事に文章の下手な人は居ない。人生が良く分かり、確かな履歴書になっている。
似たシリーズで、読売新聞では「時代の証言者」という題で先の日経と似たような欄がある。これも大体読んでいる。
それらの履歴書は、自慢話もあるけれども小説ではないから手に汗握るとか、ワクワクするほど面白い訳ではない。基本的には淡々と順を追って書かれているが、「考え方や行動が私と随分違うなーーー」と感じて、自分の体験と重ねて読むことが多い。
私は先の大手T社の会社員だった時代から、別会社へ転職し、挙句は中年になって失業し、それが切っ掛けで会社を創業したりした。それなりに苦労を重ねたつもりだから、先の「私の履歴書」を案外深読みしているかも知れない。




