横向きに食べる
そんなRの響きをここで紹介出来ないのが残念だが、恐らく口腔内の構造と舌と喉の関係でそんな発声になるのかと思う。もちろん日本語にはそんな音が存在しないから、聴く楽しみはもっぱら外国人女性に頼る以外にないが、歌手で挙げるならダイナ・ショー(「バッテンボー♪」の古い唄で一般に知られている)のCDを何枚か集めて、私はRの発声を楽しんでいる。
私はこの曲をかなり以前(=多分小学生時代)に聴いて(記憶に間違い無ければデイズニー映画のアニメの猫が体をくねらせながら歌われたと思う)、以来Rの発声の魅力に憑かれてウットリするから、よほど体の奥へ響くのだ。因みに、その女性歌手の顔を私は知らない。
Rの発声に拘る自分が少しヘンだと思って、何時だったか(軽蔑されないかと危惧しながら)恐る恐る親しい英国人の知り合いに話した処、「実はオレも、あのRの発音の艶めかしさに痺れるよ」と返された。自分が「少しもヘンではない」と分かって、少なからず感動したものだ。
その後、昔のローマ時代の「市民生活」を活写した本を読んていて、女たちの浮気が蔓延していた当時の様子と並んで、「(特定の女性が発する)誘惑的なRの発音」について堂々と触れていた。読みながらゾクリと来て、声だけで恋が出来そうに感じた。
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語学は本を読むのが好きでないと出来ない趣味だが、定年後の老後生活にもし適当な趣味を持っていないなら、英語の勉強を勧めたい。
勉強していると満ち足りて幸福そうに他人から見られるし、第一外に何もすることが無くても気をもむことが無い。Rの発音を含めていかがわしい程奥が深いし、発展的には外国の人とメールでコミュニケーションも取れるし、朝から晩まで観光案内も出来ますぞな! リンゴだって、横向きに食べられるようになります。
完
2020.1.9




