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生真面目すぎる小説
4.生真面目すぎる小説
と散々腐したが再々度あにはからんや、私には少し凝り性な処があって、英語の勉強が好きなのである。ほゞ毎日英語を書いているだけでなく、本(小説)を含めて英語の文章を読んでいる。感心した英文に出会うと、ノートに書き留めている。日本人なら余り「思い付かない」と思う表現である。世に英語の辞書は沢山あるが、自分独自の辞書を作って誇らしげな気持ちでいるから、凝り性に違いない。
語学の勉強は、やってみると存外と面白いもの。例えば小説なら、話の筋自体の面白さよりも、むしろ英文を通して知る我が国との言葉の文化の違い、発想の違いや、(小説などに頻出する)ユーモアや楽天的な表現の多寡などは、日本の小説とは随分違った趣がある。
顕著な違いだと思うのは、一般に日本の小説は生真面目過ぎて、ユーモアのセンスに乏しいのに気付く。国民性と文化の違いを感じるけれども、そんな処が英文を読む楽しみでもある。




