女ががっかりする
本の著者A・レインは安全な社会を切に願って、こう考えているようだ:
医学的介入という面では、心拍数の少ない人を正常値へ引き上げる為に医薬品を投与する事は反社会的行動を減退させるーーーというのが分かっている。心拍数の低い子供には行動療法も有効である、と述べている。
◎ごく平たく言えば:(私みたいな人間は)心拍を上げる為に興奮する刺激性のコーヒーをタップリ飲ませてやって、マラソンさせれば犯罪を未然に防げる、という意味だ。或いは、しょっちゅう(出来れば生涯・ドキドキせんが為に)セックスに励み続けよ、という意味にもなる。私はコーヒーより後者を歓迎するが、いずれにしても「心拍数が正常値へ増加する」からだろう。だから先に言ったのである:私が女を口説くのは生涯治らないだろう。心拍を上げるのは、自分の健康を保持するためだからという事になる。
今でさえ新たに収容が出来ないほど刑務所は犯罪人で溢れているそうだ。これ一つとっても大きな社会問題で、確かに対策が必要とは思う。とはいえ、対策として治療薬剤を投与したいと考えるA・レインの暗黙の提言に、心拍の低い当事者である私は、必ずしも賛成しかねる。そんな社会の到来まで私が生きているとは思わないがーーー。
物事には作用あれば反作用がある。仮に安全な生活の為にそんな社会制度が実現する事になれば、治療薬剤を服用して正常な心拍数になった私は確かに健康的で授業中にキョロキョロしなくなるのは良いとしても、ベンチャー企業を起すような冒険は実現しなかった事になる。ついでに「みいみさん」は、私のような男から口説かれるチャンスが減って、案外ガッカリするのじゃなかろうか。そんな世の中が果たして面白いだろうかーーー。




