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綺麗だね!

 が、事は私の期待通りに展開しなかった。

 女は海からの微風に七色のベールをひらひらなびかせた。何のためらいも無く華麗に舞い始めたのである。パフォーマンスは数分間に過ぎなかったけれども、柔らかな身のこなしと、長い脚と体の動きに私は惹き付けられた。


 初めはそう見えたけれども単なる舞いではなく、以前TV番組で観た事のある太極拳の緩やかな動きに似ていると思った。舞うように見えるのは健康体操の一種なのだろうか。太極拳は攻撃武器にもなるそうだから、その気になれば顔面打撲と首絞め位はやるのだろうが。


 スポーツで鍛えた細身の体のしなやかな動きが美しかった。「綺麗だね!」と正直な声を投げたら、「ねえ、そうでしょう!?」と女は恥しがる処が無かった。そんな舞い(或いは体操)を教程に含めた教室を開きたい、という女の気持ちが理解出来た。「仕事も生きるのも、適当にやればよい」というのとは、ひと味違うタイプの女だと知り、今回のデートの元を取った気がした。


 それにしても、ここは人気のない神戸空港砂漠の真ん中に二人きりである。身をさらけ出すようにして舞う姿が全く無防備に見えたのは、やっぱり女がこっちを自分の「お父さん」と見ているせいかと思うとーーー、少し寂しい気がした。


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