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◎第六十四話:「事務員が辞めた」話

◎第六十四話:「事務員が辞めた」話


 ウチの決算月は先月の六月。現在は決算書作成の最終仕上げ段階で、創業以来ウチが頼んでいる税理士は大いに忙しがっている。彼にとって、ウチは上得意の筈だ。作成の途中経過を観る限り、過去最高の利益を達成しそうだ。

 売上額は昨年と同じ程度で横ばいだったが、売上利益率が6割以上、純利益率が2割に届きそうだ。人は優良企業と言ってくれるが、妬まれるといけないので内緒にしている。


 他方で、十年以上ウチに勤めていた美人の女事務員が辞めて、四ケ月になる。先に書いたようにウチでは社員への管理が緩やかである。これは社員にとって良いばかりではないようだ。自由に責任を任される一方で、他人が(或いは上司が)管理してくれないから、自己管理しないといけない事になる。


 入社数カ月以内の初心の時代なら、人から注意されなくても自発的に決してやらない事を、十年以上が経つと「これくらい、構わないだろう」と思うようになる。思うだけなら良いが終には実行してしまった。


 私は癇癪を起す代わりにため息をついただけだったが、泣きながら本人は自ら辞めた。一旦失った信頼はもう取り戻せないーーー。泣いたのは超優良企業を辞めたくなかった為だろうが、女を痛めつけるのは好きではないから、これ以上に言及しない。


 さて話は、自慢話でも女の話でもない。

 当初は直ぐに事務員の後任を入れる予定だったが、結局入れない事に決めた。彼女がやっていた仕事について、一部を廃止してもうやらない事にしたり、分担を他の人へ振り向けて、抜けた穴を埋める工夫をしたからだ。(例えば封筒の宛名を自ら書かねばならないとか)をやるのに不満を言う社員もいたが、私は無視した。

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