表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
497/1684

特ヘレカツではない

 けれどもーーー、と私は立ち止まって考える:

 大きな副作用があるからと言って現在やっている「自律・一任経営」を中止しようとは、考えていない。物事にパーフェクトは無く、作用があれば副作用もある。到底許せない副作用の問題が発生したら、解決の為に安易に(がんじがらめの)管理監督者を置く代わりに、再発し難い工夫(=ルール)の策定を試みようとした。そういう風にして、今までやってきた。こうして今後も変わるまい。


 結果さえ出せば、どこで何をしていようが、さぼっていようが、基本的に私は社員の細かい点は気にしない事にしている。要点をまとめると「ウチの文化」は:「組織に管理者を置かない・自由にさせる・一切を任せる・1000問以上から成る社内教育制度」となる。経営者個人から言えば:やるとすればブランコを時々ちょいと突っつく位なものだから、一見無責任風に見えるが、「殆ど何もしない文化」と言える。


 さて、この文化だがーーー、鳥になった積りで高所から眺めてみた。他社にそっくり真似ができるだろうか?と考えたのである。一般に使える普遍性があるかどうか。先のC・ルーファのトマト会社のケースでは誰も真似しなかったらしいがーーー。


 考えてみると、三菱重工や日立製作所にウチの真似が出来るとは、思えない。副作用が大きすぎて、収拾が付かなくなる。それならと、あちこちの中小会社に話を置き変えても、出来るとは思えない。副作用を恐れない太っ腹な社長が居る気がしないからでもあるし、(責任を一任させられるだけの)会社の財務体質も影響すると思うから。少しでも赤字を怖がっていては出来ない。


 となればーーー、ウチの「文化」は簡単に他社に真似の出来ないユニークな存在なのかも知れない、と思うに到った。モーニングスター社の本に巡り合わなかったら、また「子持ち昆布」からの冒頭の「奇妙な質問」が発せられなければ、私はそんな事を過去三十数年考えて見た事は無かった。自分のやる事は(誰でもそうだろうが)、余りに「当たり前な事」として「ユニーク」な産物だなんて疑いもしなかったからだ。


 結果は、駅前で定期的に買う特ヘレカツではなかった。名経営者と呼ばれる処がもし私にあるとすれば、「名」に相当するのはこの(経営者が殆ど何もしない)「会社文化」のユニークさにあるのかもしれない。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ