ゲッホ・ガッハ!
さて話を戻して、先の会話を眺めて読者は(彼女も)私が回答をはぐらかしているように見えたかもしれない。が、実際は正真正銘はぐらかしてはいない。彼女へのお詫びも兼ねて、自分でも自問自答しながら、質問に真正面から答えてみようと考えた:
「(社長が)ろくに仕事をしないのに、どうして(会社が)上手く行くのかーーー」、実の処は必ずしも正解が100%私に分かっている訳ではない。そんな事を言うと無責任なようだがーーー、「子持ちコンブ」から不審を受けても、直ちには上手く説明が出来ない。世間の多くの(=全部とは言ってない)社長も、多分そうではあるまいかーーー。ただ、大概どの社長も自分を尊敬して貰いたいから、「分からない」なんて本当の処を語りたがらない。
「弊社の成功の秘訣はxxxxである」、と自画自賛する経営者は多い。華々しく成功している会社であれば、言う事が如何にも正しいと世間の人は信じやすいが、「実は」怪しい。これは健康法に似ている。こんなジョークがある:
身体丈夫で元気な年寄りが「お元気ですね、長生きの秘訣を教えて下さい」と訊かれて、愛煙家のその人が「わしゃあ、日に四十本は吸うんだ。これが美味いんだよねーーー、実に気分がリラックスする。長生きの秘訣さ。ただ、毎朝二時間は咳が止まらんで難儀するがねーーーゲホッ、ゲホッ、ゲホッ、ガハッ!」
こんな人も居る:毎朝鹿児島産の青汁をドンブリに二杯飲む、これが秘訣さ。或いは、「元気なのは、毎朝タスマニア産の赤身の肉を100グラム食ってるからさ、これに限るよ。お陰で彼女も居るしな」てなもんである。
そんな悪習慣を止めたら、きっと更にもっと健康で長生きになる筈と思うがーーー。
会社の経営も先の健康法と同じで、「上手く行く」ヒケツが、経営者本人に必ずしも百パーセント分かっている訳ではない。人の体と同じく会社は複雑な複合体で成り立っている。経営者の資質だけに限らず、世の景気・会社の歴史な背景・協力や支援してくれる人材の有無・技術力・ライバルの動向などーーー、沢山のファクターが支えているからだ。




