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綺麗だね
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「うわさがあるのーーー」と、女はいよいよ本題へ切り込んだ。
「ーーーー」
「貴方じゃないの? このジムでヘンな噂を撒いている人がいるのよ。Kさんも迷惑しているわ」
「Kさんとは、ペンキ屋だねーーー?」
何気にスルッとそう言われて、つい女が微かに頷いた。頷いてから自分で勝手にハッとしているーーー。私の知らなかったペンキ屋の本名が、Kだと割れた。
「僕が噂をばら撒いていると疑っているのかい?」
「そうーーー」女は頷いた。「(ダンスを何時も見てくれる)貴方は私の味方だと思っていたのにーーー」と加えた。
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「貴方を綺麗な人だと思っている。だから「あの女性は綺麗だね」と人には言うけれど、それ以上には言わない。他人の噂やゴシップを口軽く人に話したりはしない、僕はそんなタイプの人間じゃないよ、元々」
「ーーーー」




