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「ついでに言うとね、時間的にジムからもうとっくに退出したものと思っていたら、ある夜だけど、貴女の車が駐車場の暗がりに未だ残っているーーーのに気が付いた。


「車はあるのに、ドライバー本人は何処にも居ない。車を置いたまま、一時間半は何処かへ行って戻って来なくてもいいのでしょうーーー。ジムの駐車場は十一時半までだから。しかしジムの場所が不便だから、何処かへ出掛けるにはもう一台別の車が要るよねえーーー」


「あら、そんな筈無いわよ! 私の車を知らないくせに」と、女が顔色を変えた。

「駐車場には何時も80台位あるのかなーーー。僕は駐車場にある車の車番とドライバーを覚えるのが得意ーーーなんだ。意識しなくても勝手に覚えてしまう。昔の受験生時代の名残さ」

「ーーーー?」


「貴方の車は1133、井上君のは1435、山口さんは2412、明治維新は1868、関ケ原は1615、2313は僕の奥さんの誕生日、1155は六角形の角々の寸法、13の二乗は169、0647は昨夜読み終えた本の最終ベージの番号だよーーー」


「すごいーーーー」


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