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◎第七話: 「ミロのビーナスを見ろ!」の話

第七話 「ミロのビーナスを見ろ!」の話


1.バチャバチャ

 今回は女が出て来る話。しかも、ぴっちり張り付いた薄着で。


 誰しも趣味があると思うが、趣味が仕事と直結して、それが金儲けとなればいう事はない。植木が好きなら植木屋になればよいし、文章を書くのが好きなら小説家になって稼げばよい。何も嫌な事をやって生涯を過ごす事はないと思うから、その意味では、離婚も悪くない選択。

 ただ、男の私が女を好きだからといって、女になる訳には行かないのが、不便だ。


 67になる私にも幾つかの趣味がある。一番の趣味は、会社でムシムシやる「仕事」で、それが金儲けになっている。欲張りだから、他にも二番手、三番手の趣味がある。内の一つが、毎週通う「ジムとスイミングプール」。


 以前は、自分のステータスに相応しくシテイホテル内に併設の立派な施設を利用していたが、そこの経営が悪化してプール事業が廃止となった。止む無く、ランク落ちではあるが大衆的で会費の安い「アクトス」という会員制クラブに加入し直して、週1・2回のペースで通っている。


 ここの温水プールは、明石大橋を目前に望む絶好の海岸べり(=大蔵海岸という)に位置し、昼間は対岸の淡路島との間の海峡を通過する大小の船影も間近に望めて、以前のホテルのプールの時より眺めがよい。これは評価出来る。


 休憩室に経済紙などは置いてないし、飲みたけりゃ、缶コーヒーが自動販売機で自前と来る。浴室の設備は貧弱で、会員数の割に洗い場が少ないから毎回混み合っている。無論マッサージルームは無いが、月間1万数千円の会費だから、文句は言えないかーーー。


 それらの満足・不満足な点にも慣れて、今では「住めば都」、「幸せは何処にでもある」となっているから、環境の変化に私は適応力がある。泳ぐのは大概金曜日の夜か日曜日の昼間になるが、これが愉しみで、ルンルン気分とくる。


 私の得意技わざはクロール、俗に言う「バチャバチャ泳法」。ホテルの会員だった時代にインストラクターに個人指導を受けてクイックターンだって出来るから、「バチャバチャ」と言えども、理論だけはつうの域。折り返し時のターンの2秒を加えて、往復50mのプールを60秒で泳ぎ切る記録保持者である。


 なお、このプールでは泳ぐ人全員が、それぞれ自分で勝手に記録保持者である。中には記録を実際より短めに言うズルも居るが、そんな不正に一々内部告発をする人は居ないから、プールはまことに自由の国と言える。


 あれやこれや言い訳めいた前置きになったが、正直に言うと「雑念」が邪魔をして、最近は記録が伸び悩んでいる。雑念は2~3あって、それが今回の話:


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