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実は本人

8.実は本人

 随分回り道をしたが、ここでウチの社員の定年退職の話に戻る。退職金の話は別に置いて、(定年が近づく)社員達は先の富士電機の人と同じ心境で不安を感じているのではなかろうかーーー、と想う。かっては「鬼か蛇か!」と恐れられた私だが、社員の為にそれを改めて思いやったから、根は案外良心的だ。


富士電機の人がそうだったように五十代の人には六十の歳がどんなものか、見当が付かない。同じように六十は七十六が分からないようだ。三十が四十を推測するのとは訳が違う。例えば私は六十だった時に、今の七十六になったらテンションナット(新製品)やロックワシャを発明するだけの知的能力を有している、とは正直予測出来なかった。


老いてますます盛んとまで偉そうな事は言わないが、歳が入って(他人の思い付かない)新しい発明が出来たり知性が大して衰えない事実に、一番驚いているのは「実は本人!」なのである。なんだーーー、これだったら未だ充分会社の経営が出来るじゃないか。

無論同じ歳で大病を患ったり痴呆を発症する人もいるから、ひとくくりには出来ないが、年齢と人の能力の関係には未解明な部分があるようだ。


ウチの社員達は、幸せかも知れない。なぜなら「(あの歳になってもーーー)あそこまで行ける」と、心強く感じて定年後の一つの道しるべになるかもしれないから。


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