貴方も私もセックスマニア
3.貴方も私もセックスマニア
ここで話が地球規模でガラリと変わる。地上で人類が今のように栄えているのは、気の遠くなるような長年月の遺伝子の選択の結果であるーーーというのは、科学の進んだ現代では、一定の常識になっていると思う。
例えば女のオッパイとお尻が大きい(=他の類人猿のメスではそんな異常な形態は皆無だそうで、大きいのは人間の女だけ)のは、そんな実力以上の虚名の女が(男に)好まれて、後世に子孫を残す機会が多かったから、という進化の結果である。
また男が一般に力が強く背が高いのは、マンモスを多く狩れる体力のある男が女に好まれ、長年月そんな男の遺伝子が(女にもてて)優先的に「選択されてきた」結果と言える。ここに有るのは、「選択と進化」という確率と算数だけで、それ以外に何もない。これと同じに:
・肉を食べると美味しく感じるのは、肉そのものが美味なのではない。太古の昔食べ慣れた木の実以外にたまたま肉を口にして、その栄養豊かな食物で元気を回復し、結果セックスの回数も増加した。肉を好んで食べる個体が、子孫を多く増やしたのは当然で、結果が今に繋がっている。肉を食べる時、それが「美味しく・幸せに感じる」ように、人は「進化」したと言える。
・人の糞が悪臭でクサいのも、糞そのものがクサイ訳ではない。証拠にハエはクサく感じていない。人間はクサク感じて、糞を決して食べない個体だけが今に生き残った。クサク感じずに食べた個体は中毒死で淘汰されたから、今に生き残った個体はクサク感じる人達ばかりで構成されている。進化は生き残る為の切符であると言われる。
・人がセックスを好きなのも、同じ。寝床でのおモチツキを「暑苦しくって・面倒だ」という個体は、既に淘汰されている。世代を重ねて生き続いたのは、「異性の体臭を好ましく感じ・一緒に居て幸福感を持ち・相手を大好きに感じる」という、オス・メスともセックス大好きなセックスマニアの個体だけ。世界中に繁栄する人類の数を見れば自ずと分かる。
因みに、「セックスが好き」なのは、「子孫を残さないと人類が滅亡するから、そうならない為に人間に備わった本能なのだ」と真面目に言う人がいる。
が、これは「人間中心主義(=好悪の感情)」の考えで、間違い。進化と宇宙にあるのは算数と確率の計算だけで、人の滅亡の有無など考えてくれてはいない。第一そんな知性は自然にも宇宙にも存在しない。
現代とは、長年月を通じて「淘汰されるか・生き残るか」の二者択一の「選択と進化」を、単に結果として「眺めている」だけ。眺めてみたら、辺り一面セックスマニアだらけで、糞をクサがる人達ばかりが生き残っただけで、それ以上の意味は無い。
将来の人類の滅亡を恐れて、それに備えてセックスが好きな本能が存在するのではなくて、セックスが好きな個体だけが現代まで淘汰で「生き残った」に過ぎない。あるのは過去の選択と算数だけで、遺伝子コードには人類の将来という単語は記載されていないようだ。
しかし、そうと知ってみればセックスも味気ないものだがーーー。
「人生の目的は何か? 生きる意味とは?」とよく問われる。その質問がナンセンスとまでは言わないが、私ならこう応えるかも知れない:「歳を取る目的と意味は何か? 貴方が彼女を好きになる目的と意味は?」と訊ねるのと、同じ程度の質問であると。




