身の引き締まる思い
反対に熱狂的な信者もいて、これが私には救いになる。ファンクラブを作ってくれて、女友達の「四十バツイチ子持ちコンブ」が、その先鋒である。彼女の大学一年の一人娘も味方として参加していると聞くが、私は本人へ直接確認していない。
先だっては、この(予定の)製品に商標登録した(=テンションナット、と名付けた)のだが、早速これを(名前だけ)マネた会社があった。これを知って頭に来たバツイチ女は、「許せない!」と顔色を変えて、食べかけたスパテゲイのフォークを握りしめて駆け出そうとした。慌てて引き止めたくらいで、米国と違って日本には銃規制があって幸いだと思う。
いやなに、内緒を言えば向こうの方がその名称を「前から」使用していたのである。格好いいと思って、ウチがそれを拝借して商標登録した。
我が国の法律では、従来から使われていようがいまいが、先に「登録手続き」した方が勝ちになる。しなかった方が「負け」。よって、突然ウチ以外は誰も使えなくなった。素早くて「ズルイ!」のがウチの特色だが、「利口だ!」と言ってくれる人も居る。
そんな複雑な事情がありながら、左か右か二人の女に愛されて、昔も今も私は中途半端な存在である。双方の期待に応えて、こっちも自分の年齢が年齢だけに、いよいよ身の引き締まる思いがする。




