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追伸1

追伸:

 今回の主題に関係して、常々思っている事が一つあります。一部の人に役立つかも知れないと思うので、この機会に付記します。先ず前置きとして:

 私は考古学や地質学の本を読むのが最近好き。とは言っても、古代アンモナイトや三葉虫の化石の発掘や絶滅の様子なんて、本来つまらない話。日常生活に関係がないから、ケラケラと笑うほど面白い筈はない。そんな無味乾燥な論文を、こんな風に表現して書いていたらどうだろうか?

    *

「私は科学者(=考古学者)になって、名声と一緒に女の子も手に入れたかったからーーー」

  ☆(初めの書き出しがこうなれば)論文が、若者のワクワクする野心の物語ーーーみたいになる。

「もしアンモナイトが思考を持ち合わせていたら、(絶滅の危機に遭遇して)これは一体どうした事かと、不審に思った事だろう」

  ☆不審が昂じて、推理小説の元祖の展開、みたいになる。

「古代アンモナイト達の暮らし向きと言えば、非常に粗末な家柄から身を起こしたようなものだったが、天敵のXXX種へ勇敢に立ち向かい、最初は甚大な被害を被ったが、ついに彼らを敗走させたーーー」


  ☆論文の中身は、輝かしい成功物語へと発展。

「こうしてアンモナイト達は楽園で楽々暮らしを立てていたのに、(捕食者の手ごわい進化が為に)あおりを食ってそこから追い払われた。随分勝手が違う事になり、個体数が減り不安定な生活を余儀なくされていたが、やがて(=200万年後。「やがて」とは言っても現代と単位が違う!)300m以下の海底で確固たる地位を確保しーーー。進化は生き残る為の切符で、新しい環境が爆発的な増殖を誘発した」


  ☆論文の中身は、イエスキリスト以前の、太古の復活劇物語へと転戦。

「XXX地区で発見された新種のオランウータンは、他種に比べて顔に皺が多く、彼は年より風化してみえる。これはXXXの捕食者達から、あの手この手で悩まされるストレスのせいかも知れないーーー」 解明の為に、(私は)困難な研究に挑む事にした。


  ☆論文は、果敢にしてユニークな理論へとレベルアップし、挑戦物語となった。

「XXXの進化で、カニは海の世界で急速に頭角を現した。お陰でXXXの二枚貝達は木の葉が一枚一枚はがれ落ちるように、(数万年以内に)次々仕留められ、ついに息の根を止められたのだ。これが種の絶滅のプロセスである」


  ☆まるで平家物語みたいで、壇ノ浦での滅亡を思い起こさせ、しみじみとした有終の美がある。

「(考古学者であるA教授が)もったいぶってこしらえた新理論へ、学会の反論は激しく、あからさまにこき下ろした。こうして、成功し人生もあらかた済んでいたのにーーー、教授は圧倒的な証拠を提出するハメに陥ったーーー」


  ☆人生アニハカランヤの展開で、老骨に鞭打つ哀歌の物語となった。


    *


 ねえ、面白いでしょう? 実は、これ等は全て実在する研究者の原著から(殆ど)そのままを抜き書きしたもの(☆印の部分だけが筆者の加筆コメント)。それぞれの著者は世界的に名の知れた研究者。


 (普通は無味乾燥で面白くない筈の)進化の歴史(=考古学の論文)が、「書き方一つ」で、戦争ごっこや平家物語みたいにワクワクとなる。底に流れているのが、一貫してユーモアなのにお気付きでしょうか? こういうのを読むと、同じ研究者の他の著書へも、つい手を伸ばしたくなる。

 他方で世界的な(別の)研究者に書かれたもので、まるで面白くなくて、最後まで読み通せない考古学の本もあります。


つづく

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