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漱石

 大分以前になるが、百歳を超えた「金さん・銀さん」がインタビューで、「今回の(臨時収入の)お金はどう使わまれますか)と司会者に訊かれて、「老後にとって置きます」と応えたのは、確かに面白い。が、これはジョークとは言えない気がする。ジョークが言葉の遊びで「創作された文学」だとすれば、(金さん・銀さんは意図していなかったから)創作とは呼べないでしょう。(これは、あくまでローカルな自説説ですがーーー)

 これも先の「金・銀さん」と同じ部類でジョークとは言えないが、私の息子が五歳くらいの時、家族の夕食で「鍋物を囲んで」おりました:

息子:そのクサを取ってよ!

父親:ーーーー?

息子:お豆腐の横のーーークサ。

父親:ーーーー??

母親:ヤサイと言いなさい!

父親:(取ってやり)はい、クサをどうぞ。


☆ヤサイと同じくらいに真面目な母親の薫陶を受け、お蔭で後息子は大変真面目に育ちました。

 我が国の文学は、何故か「真面目で・深刻ぶった」物が多いように思う。もっと「面白・可笑しく・楽しく」書けばいいのにと思う位だ。そんな中で漱石はユーモアが随所にあって、ユーモアがあると言うだけで私は好きである。

 五月蠅と書いてウルサイと読ませるのも面白い。が、最近は食卓からハエが居なくなったーーー。よって、ウルサイという現象が無くなり、ユーモアが通じない時代になりました。


 けれども、そんな漱石に頼らなくても、実は我が国には伝統的に「落語」や能と共演される「狂言」などが存在する。それらはジョークを磨いて芸術の域まで高めたもの。語り手や演じ役が男なのは、やはりジョークが男の専門分野だからかーーー? そういえば、漱石も男。


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