戦争をする意味
「ご覧の通り、地球の裏側だから日本では何もかも正反対です。例えば、ご当地では一番強くて偉いのは女性だと聞いておりますが、我が国は正反対。男の天国です」とからかう。
「会社から帰宅すれば、「フロ!・メシ!・ネル!」のたった三語の命令形で事足ります。当地では女性に命令形を使うと裁判沙汰になると聞いております、不便ですねえ。日本人であって、私は本当に幸せです」とオーバーに語る。
「入浴の習慣だって違いはクッキリしていますよ。日本では風呂に「入る前に」、ちゃんと衣服を脱ぎます。礼儀正しいのですーーー。
ですが当地では、風呂を「出てから」衣服を身に着けると聞くじゃありませんか! 何もかもびっくりする程正反対ですね」と、煙に巻く。これが私の定番で、大抵ジョークの手始めである。
女の子が居そうな家庭に招かれる時には色紙を何枚か用意し、私が先生になって日本の折り鶴を一緒に折ったが、優雅なアートはどの家庭でも喜ばれた。折るのは鶴一種類だけで、敢えて二種類をやらないのは、場が「ダレる」からで、計算の内。
折り紙の授業が終わったなら、残りの折り紙の裏地を使って、先ほどの単行本を教材にして日本文化の象徴である漢字を教えた: 分かりやすい「山」・「川」を先ず教える。城壁に囲まれた中に王様がいるからと言って、「国」という字を教えた。
ここまでは基礎編で、周りは「ナルホド理屈に合う、これならオレにも簡単に漢字を勉強出来そうだ」と、安易に勇気付けられる。
木を二つならべて「林」を教え、三つ並べて「森」を教えた。
「女」という字を教えて、次に三つ並べて「姦」の意味をクイズにした。多くの人が、それは「ケンカする」という意味だろうと推測する。誰も当てられない。正解はNoisy(=ノイジイ:やかましい)!と教えると、「確かに!」と言って大笑いになる。
こんな時、場に女性が居て「男を三つ並べたカンジは無いのか?」と逆襲された事がある。「否」と応えると、間髪を入れず「戦争をするという意味よ」とウイットで返されて、こっちが兜を脱いだ場面もあった。無論大笑いとなる。




