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おもろいヤツ
7.おもろいヤツ
ジョークだけでトップセールスになれた訳ではないが、販売店の人を含めて多くの顧客が私を「好きになり」、商売に効き目があったのは確か:「おもろい奴ちゃー!」
けれども、私は決して生来「おもろいヤツ」ではない。むしろエンジニアの典型でムシムシと孤独と陰気が本業だったから、およそ魅力のない人間。「おもろいヤツ」は作為的な姿で、サラリーマンとして淘汰されずに社内で「生き残る戦略」であった。
因みに: 人柄や性格は「生まれつき」身に備わったものと人は思いがち。が、先の体験から、私はむしろ後天的に「演出される」のが多いのではないかと感じている。セールスマン時代は「おもろいヤツ」を演出していたわけだ。
今では外の方面でも巧みな演出が利いて、「品行方正・他人へ公平・誠実・いやらしくない男・セックスなんか大嫌い・浮気の意味を知らないタイプ、」と社内で思われている。つまりそう書いたからには、実態は正反対という事になりそうだーーー。これも「立派な社長」の地位に留まる為の、涙ぐましい作為と努力である。




