ジョークごっこ
7.ジョークごっこ
日本人が日常生活でジョークが余り上手でないのは、男尊女卑の長い文化的背景のせいかも知れない。習慣で女の「ご機嫌をとる」必要性が無かったから、男は技術を磨かなかったのだろうか。それとも、日本の男子は西洋男子に比べて女嫌いだったのかなーーー。
私なんか今でも女が嫌いではないから、(モテようと画策して)涙ぐましくも「ジョークが好き」になったのかも知れない。
伝統のせいで、「ご機嫌を取られそこなった」可哀想な日本の女達は元来ジョークに慣れていない。これが為に、こっちが無理してジョークらしきものを囁くと、「何よソレ!?」と生真面目に疑問形を返されてヘドモドしてしまう。変人扱いされて、不敬罪で訴えられかねない。
さて、男女を問わず一般に(ユーモアやジョークで)「自分を笑わせた人間」を嫌う人は居ない。だから、女を落とすには「笑わせば」良い訳で、もてるコツだ(覚えておくと絶対トク)。ビジネスに場を変えれば、買い手を笑わせたら物が売れる事になる。セールスマン時代体験的にこれを学び、ジョークを販売戦略の一つとして積極的に活用した。例えば:
他社の工具より「作業スピードが三倍速い」という特徴のある自社製品のPRで、普通はこうなる:
「お客さん、この製品は他社製より三倍速いですよ」
気の利いたセールスマンなら:
「三倍速いから、作業時間が1/3に短縮されて大幅なコストダウンになり、お買い得です」
私はジョークごっこをした:
「お客さん、これをお買いになれば、三時間掛かっていた仕事が一時間で済みます。浮いた二時間で彼女とホテルに行けるじゃないの!」、とやった。
無論相手を見てやるが、笑わない客はいない。そして、売れた! 「品が無いわ!」と配偶者は一蹴するけれどもーーー。
外にも、外径が大きなサイズの油圧計を示して「老眼になっても、よく見えるじゃないの!」とやったし、黄色と黒色交じりでデザインされたリモコンスイッチを指して、(勝手に機械が動いたら怖いから)「トラの尾を踏まないように」用心の為に「黒・黄色の警戒色」にしています、とユーモアを混ぜた。同じセールストークでも、予め笑いを計算した。一歩間違えると不真面目な印象を与えるから、境目に注意が要るが。