一夫一婦制
4.一夫一婦制
ビジネスを通じて、何ケ国かの外国人と心安く付き合う機会があった。経験数には限りがあるが、総じて米国人が一番ジョークが上手に思える。多民族国家だから、他の人たちと上手くやる為に、そんなセンスが鍛えられたのだろうか。もっとも大きな快楽は、他人を楽しませる事と信じている風で、「何か面白い事はないかいな」と四六時中探し歩いている。
それにしても、楽しくやっている筈だのに、米国人に離婚※が多いのはどういう訳だろう? これも、そんな質問をすれば「一夫一婦制の副作用だよ。人生は短い、だから急いで離婚しよう。離婚が人生で最大のジョークさ!」と、返って来そうである。
※Mr.Junkers
私の上司だったが、デンマーク人でジョークの上手な人※がいた。ジョークが本業で、その合間合間に仕事をしているような気さえした。そういう人は楽しい。かといってバカどころではなく、機知をひらめかせて応酬の巧みさで場をうならせる。
※Mr.Albinius
ユーモアは「言葉の遊び」だから音律も関係して、他の言語に訳してしまうと、可笑しみが消える場合がある。先のデンマーク人が来日した時が、たまたま冬の味覚のシーズン。奮発して大きなカニを丸ごと馳走したことがあった。数人の人と一緒に格闘するようにして食べ散らした後、「殻」が皿に山に積み上がった。一息ついてこれを眺めた彼が:
「Plenty of Nothing !」(プレンテイ・アフ・ナッシング:「何も無いのに、どっさりある!」)
意味はただそれだけの事である。日本語として聞いても可笑しいが(=実は、可笑しいように意訳した)、英語で一語づつゆっくり表現すると、周りの雰囲気も相まって愉快なユーモアに響く。こういうのが私は好き。これを覚えておいて、外国の人が来日して同じような状況に遭遇したら、今度は私がそのまま借用して相手を笑わせている。