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バツイチ子持ちコンブ(2)

 体を動かすのが好きなスポーツマンには、概して読書家は少ないようだが、このバツイチ女は例外。やっぱり近眼( ちかめ)で、眼鏡とコンタクトを代わる代わる架け替えている。替えると印象がガラリと変わるから、まるで二人の別々の女と付き合っているような存在感を与える。男としては数をこなせる気がしてお得感がある。


 一度村上春樹のベストセラーの一冊を、同時期に偶然一緒に読んだ事がある。読後の女の感想が:

「うわさほどじゃないーーー。この程度なら貴方にも書けるわ」

 こっちを褒めているのか腐しているのか分からないが、私もそっくり同じ感想を持ったので、それ以来意気投合している。

 この女も推理小説を最後のページから読むタイプで、先の配偶者との類似を考えると、女が男より進歩的なのは、この辺りに共通の秘密が在りそうだ。本を読み知識が豊富な上に急所をズバリ指摘するタカ派だから、しばしばこっちをコーナへ追いつめてタジタジとさせる:


 先般のデートでは、しっとりした語らいになる筈だったのに、話題が女の好みで国際情勢の分析が中心になった。核実験直後だったから、「北朝鮮を壊滅させよ!」と女が不穏な叫びを上げて、金正恩だけでなく習近平をも批判した。散歩中のトランプ大統領へ聞こえたら、芝生でけつまずくんじゃないかと、こっちは本気で心配した位だ。


 次の語らいの機会には、今度こそしっとりやりたいと思うから、危険な核実験の話題を極力避けようと思う。私としてはIPS細胞の精製技術について女の見解を求めたい処だ。が、小さい事が嫌いな彼女は多分、宇宙空間の暗黒物質についての論議を深めたい、と主張するに違い無い。


 高度な語り合いをしながら宇宙空間を火星まで漂う二人の愛は、ますます深まる結果となろう。それもこれも普段から「本を読んでいる」からこそ、のメリットなのである。

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