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バツイチ子持ちコンブ

7.バツイチ子持ちコンブ

 スポーツジムで知り合ったバツイチの女友達が居る。彼女、エアロビダンスでBaila Baila(=南米ラテンリズム)が上手で、しなやかに踊る姿を見とれる内に、こっちがハマった。


 この女何年経っても風化せず年々若返るようにさえ見えるから、マカ不思議。何時もお茶を持ち歩いて水分補給を怠らないから、脱水しないのだろう。持ち歩くのはペットボトルであって、ヤカンではない。中学生の女の子が一人いるから、「三十八・バツイチ子持ち昆布」という長いあだ名を、五年前から付けている。


 理屈から勘定すれば十年以上も前の話になる。この女、結婚に安定を求めたのに夫は不安定だったから、夫の選定ミスを犯したのだ。が、悩む代わりに「人生は短い、だから離婚しよう」というのを本で読んで感銘し、夫を蹴飛ばして速やかに離婚を決行した。

 手放すにはもったいない女だった筈だが、元夫は愚かだから女へ懐柔策を取らなかったらしい。もっとも、良く訊いてみると、元夫も本で読んで「人生は短い、だから不倫しよう」という返事で片づけたタイプだから、どうしようもなかったらしい。


 これが、いいかげんセックスをやりまくった後だったから、胎内に新たな生命を育んでいて当然。女は「胎内のちびっ子が不幸にならない為に、自分の幸福をあきらめる」という戦略を採った訳だ。だから、あだ名が「子持ち昆布」となった。私なら、「人生は短い、それでも人は退屈する」と訴えて、図書館へ行ったかも知れない。

なお、元夫は養育費を月々ちゃんと支払ってくれているようだから、少しはマシな男だったのだろう。


 決断力のあるこのバツイチ女、スラリと背が高く、高校時代にパレー部で腕をポキポキ鳴らしたスポーツマン。今でも地区のママさんバレーで「レインボー・ココ」という洒落た名前のチームを引っ張っている。が、幾ら名前が洒落ていても、中には六十を超えたメンバーも混じっているから、チームの老齢化は如何ともしがたい。練習試合で毎回声を涸らして叱咤激励をやっているが、チームの誰一人頑張ってまで若返ろうとはしない。


 私にも社員を叱る経験があるから、「分かる・分かる・よく分かるよ!」と言って気運を醸し、イラついた女の気持ちを察してやる。

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