ゲホホと小学校二年生
++++でないと爺が先に死んでしまうよ」 こんな返事に、彼女は大満足である。
そんな彼女から手紙を貰うと、私は必ず返事を返す事にしていて、最近も書いた。
*
(小二の)凛と
(幼稚舎の)ちあきへ
手紙と写真を受取りました。ありがとう。
凛の書いた手紙がおもしろくて、婆と爺は、笑いました。
婆は、「アハハ・アハハ」と二回笑いました。
爺は、「ゲホホ・ゲホホ・キャ・キャ・グー・プー」と、六回笑いました。爺のほうが、年をとっているから、わらうと咳とオナラが混じるのです。
凛は、学校で水泳と「合唱クラブ」ヘはいったんだってね。そりゃ、すてきだ。爺は耳がいいから、凛のいる横浜から神戸まで歌声が聞こえるかもしれないな。よく聞こえるように、寝るときに、窓をあけたまま寝ることにするよ。
婆は、きっとお風呂で聞くから、裸だよ。
本当をいうとね、婆も昔合唱クラブに居たそうです。昔といっても、大昔じゃないから、恐竜は、もう居なかったらしい。だから、訊いても、婆は知らない振りをします。本当は、恐竜ちゃんと居たと思うよ。
爺は、一週間に一度、アクトスというスポーツクラブのプールで泳ぎます。最近「スピード水着」というのを、買いました。値段が高かったけれど、凄いんだよ、これが。 びっくり・クリクリ・キャッ・キャッなんだ! 何故かというとね:
これをはいて泳ぐと、スピードがオヨヨとなるくらい速くなるんだ。たとえばね、それまでは、プールの往復の時間がニ分かかっていたのが、たった一分になったんだ。ね、速いだろ? ニ倍も速いから、誰だって、オヨヨとなって、ホットドッグを食べたくなるよ。
見ている女の人が、「速くて、イルカだ!」と言いました。男の人も見ていたが、「ドコカ?」と言いました。爺の泳ぎが、速すぎてドコカ見えなかったのです。
下の写真は、「お神輿」です。去年の秋に、会社のすぐ前の道を通りました。秋にするから、秋祭です。誰も春祭り(はるまつり)とは言いません。
+(ここに写真貼り付け)+
「ワッショイ・ワッショイ」と言っていました。お神輿の中には子供が座っていて、太鼓を叩いていました。ドンドンドンと音が聞えました。
やかましいと思いましたが、爺は大人だから、我慢しました。
最後に、とても大切な写真をつけるよ。爺の大事な宝物の写真なんだ。スポーツクラブでダンスをする人達だよ。爺は、ここに写っていません。
爺の泳ぎが「イルカみたい」と褒めてくれた女の人が写っています。その人を爺は、好きなのです。婆には内緒です。本当をいうとね、婆の次に好きな人です。
+(ここに写真を貼り付け)+
→ クイズです: さて、上の写真の中で、その人は誰でしょうか?
ヒント1:くろい服の人です。
ヒント2:Vサインを出している人です。
ヒント3:顔が山賊みたいに悪い男の人の、すぐ前にいる人です。
ヒント4:このなかで、一番の美人で、爺が結婚してもいいと、思うくらいです。外の人は全部ブスだから、すぐ分かると思うよ。
分ったかい? わからなければ → 正しい答えは:
「写真の裏にマル印を、付けてあるよ」
神戸の爺から
*
カードの代わりに、先の手紙の「コピー」をチョコレートへ添えた。彼女の家族は大人ばかりに違いない。家族の前で、女はこの手紙を大きな声で読み上げるだろう。きっと、みんな笑う。女の美しさを再認識させられた家族は、「今以上に」彼女をもっと大切にする事だろうと思う。
完
比呂よし
2017.3.8




