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小二の孫娘 

7.小二の孫娘 


 一カ月後、デパートへ出掛けた。小箱に入った上質のホワイトチョコレートを買い求め、女へ贈った。敢えてカードを添えなかったのは、相手を困らせたくなかったからである。

 けれども、私は女を好きだから、彼女の感受性の琴線に軽く触れたいと願った。どうすれば良いか考えた末、自分の孫娘に協力して貰う事にした。


 私の住む神戸から遠いが、横浜市に二人の孫がいる。小二と幼稚園で、女の子と男の子。時々たどたどしい文字で、上の小二の女の子が手紙を呉れる。手紙の中でなぞなぞやクイズ遊びが好きだから、知能は申し分無く発達している。女の子は既におませで、時々私へこんな風に訊く:


「ねえ、じいじ、私とお母さんと、どっちが綺麗?」

 シンデレラ姫に出てくる継母が魔法の鏡に向かって「鏡よ、鏡! 世界で一番美しい女は誰かえ?」と訊くのと同じだから、末恐ろしい。


 因みに、先の孫娘に私はこう応える事にしている:「決まっているさ、一番綺麗なのは凛だよ。じいじなんか、結婚したい位だよ。待っているから、大急ぎで大きくなってくれないかな? でないとじいじが先に死んでしまうよ」 こんな返事に、彼女は大満足である。

 そんな彼女から手紙を貰うと、私は必ず返事を返す事にしていて、最近も書いた。




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