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未来の予測

6.未来の予測


「自助軍」の中で、自ら情報の収集が出来ない、言い換えれば、それまでネットに頼り切っていた他力本願の営業マンは月間売り上げがガクンと落ちた。歩合給が減るから自然に減給となる。中には、私へ「鬼!」と捨てぜりふを遺して会社を去った人も居る。ダーウインの進化論によれば、淘汰された事になる。

他方で進化に適応した「よう売る」営業マンは、改訂された有利な歩合給のお蔭で給料が従来の1.5倍となり、ウハウハとなった。私を「神様!」と呼んで、ヨイショをしてくれた。


 お中元リスト不提出は、ごく小さな事件であった。率直に言えば、命の縮むほどの寒気を感じさせるものではなく、当初は「蚊にちょっと刺された」だけのようなもの。だから、「時代の流れーーー」と軽く考えて無視し、重大な病根を見逃す経営者も多いだろう。けれども、パラノイアは冷蔵庫内の明かりのように気になった。結果として、「営業システムの改革・効率化」という大きな変革に繋がった。


 私の経営上の決断とは、往々にしてこのようなものである。因みに、こんなパラノイアを援護してくれる言葉がある:

「未来を予測する事は出来ない。が、既に起こった未来にいち早く備える事は可能だ。やって来る変化のインパクトが顕在化するまでの猶予期間は、最終警告である」(米国の経営学者 P.ドラッカー)


 お中元という小さな震動で大地震の前触れに気付いたようもので、会社が傾くという最終警告に辛うじて私の対策が間に合った。何もこれだけではない。振り返って見れば、こういう些細に見える事が実は重大事件勃発の導火線というのは、過去三十数年しばしば経験した。鋭敏に気付く事、これが会社を続かせるコツさ。


 完



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