謎は解けた
4.謎は解けた
ウチの商売は「毎日が新規開拓」。 決り切った顧客に日参するルート販売とは違う。その意味では難しい商売。顧客を営業員が自助努力で「探し・開拓」しなければならない。先ず 「探す」のが第一の大仕事。これは今も昔も担当地区がチベットであろうと大都市であろうと、全国共通の課題。努力の末やっとこさ探し・開拓した顧客は 「自分の宝」だから、誰もが失うまいとして大事にする。
だからこそ、以前にはお中元予算の奪い合いをするほどであった。それが「リストの提出を(ウッカリ忘れる程)」なのだから、今や様変わり。時代が流れて、以前に無くて「今あるもの」とは何か、(顧客数の少ないチベット地区は別に置いても)大都市圏で何が変わったか? 答えは簡単である:インターネット(=ネット)の普及、これが犯人。
便利な時代になったもので、情報過多の現代では口を開けて待っておれば 「ネットから(=自社のホームページ経由で)」情報 (=引合い)が飛び込んで来るようになった。 営業マン達は顧客を「探す」必要が無くなった。沢山飛び込んで来るなら、「宝」と呼ぶほど大事ではない。努力しなくても又次の新しいのが飛び込んで来る。 相手が宝で無くなったから、営業マンは、もはやお中元「なんか」送るほどの事もない気持ちになってしまう。
調べてみると、飛び込み率は仮にA地区(=大都市圏)を日に10件とすれば、B地区7件、C地区2件(=チベット地区)、となっているのが分かった。A地区には複数の営業マンを置いているが、それを勘案しても、A地区とC地区では情報量に五倍もの開きがある。
可哀想なのは情報が潤沢に無いC地区に居るM君とN君。従来から存在する顧客の絶対数が数えても少ない。仕方ないから、地区顧客の隅々まで「既に」販売に回っていたのだ。外に新しく訪問する処も無い。ネットの時代になったからといって、顧客の数が増加する訳ではない。
ネットの集客力に頼れないから、彼らは相変わらず自助努力を続けざるを得ない、以前と同じように既存のお客を大事にした。お中元リストの、謎はこうして解けた。




