最高裁で敗訴
7.最高裁で敗訴
企業・会社の目的は「儲けること第一で・働かない者は去れ」と言って、私は憚らない。憚らなさ過ぎて、働きの不充分さを理由に「正社員」を解雇して訴えられた事がある。最高裁まで行って敗訴したから、表面的にはブラック企業。私はそんな厳しい経営者ではあるけれども、「儲ける為」なら他人(=非正規)を搾取してまで儲けたいと、流石に「そこまで悪辣」ではない。
「非正規」を社内に抱える企業家たちは、形の上では赤い血を流しているようには見えないが、現実には毎日少しづつ殺人をやっているようなものだ:「赤信号みんなで渡れば怖くない」というやつで、悪事もみなでやれば薄まると考えている。
企業家も政府も、知恵を絞るべきだ: ロボットの導入をして、安っぽい仕事から非正規を開放して高級な職場と給与を与えるようにするとか、他国が苦情を言っても輸入規制がやむをえない時もある。能力を棚に上げて既得権にしがみ付く正社員達の給与の一部を(非正規へ回すために)調整することも考えないといけない。多少の荒療治だが、仕方あるまい。分け合いとシェアリングだ。非正規は何歳以上の高齢者に限るなどの年齢制限も、一つのアイデア。
企業家を責めるばりかしたから、これはやっぱり左翼なのかと思われたかも知れない。が、そう単純でない。今度は企業家の立場として言いたい事がある:
最高裁まで一々手間暇掛けて尋ねなくても、一旦雇った(働きの不充分な)正社員の「解雇や入れ替え」を、企業が弾力的に出来るように法改正が必要だと考えている。「正社員を優遇し過ぎる」硬直した現行の法律がネックとなり、企業が非正規の数を減らし、その代わりに新たに正社員を増やす障害となっているからだ。この事に多くの人が気づいていない、いや、気付かない振りをしている。これは、多くの企業家がそう感じている点だ。
企業も同業者間で競争があるから、企業のトップである経営者は毎日他社の経営者と優劣を競い、競争を繰り広げている。負けてしまうと、その会社の社長は首になるか、会社そのものが市場から消え去る事になる。その意味で生存競争は厳しく、経営者は厳しく査定される。
だのにーーーそんな経営者の庇護の下に、正社員というだけで仲良しこよしぬくぬくと胡坐をかいているとしたら、どうだろう? 会社の中で正社員同士・非正規社員同士、或いはそれらのグループ間で無競争であって良い筈は無い。社員は互いに切磋琢磨して実力を高めればよい。世の中に競争の無い天国なんて存在しないのだ。
非正規のシステムをやめて、弾力的に人材(正社員)の流動化を図れば、非正規の中に埋もれた優れた人材を(正社員として)登用出来る。交代させられると思えば、正社員も「ここは天国ではない」と知って、うかうかして居れず性根を入れて働く事にもなるから、(非正規という殺人をやらずに)経営者は企業の競争力を高める事が出来る筈である。こうして会社が勝ち残って、社員は賞与を沢山貰えばよい。
正社員の人達は、「既得権の侵害」として大反対するだろうがーーー、「天国・天国・既得権・既得権!」と、もう聞き飽きた。民間の水準を良く調べもせず、市バスの運転手の年収が一千万円越えという非常識を聞いたり、出勤せずにさぼったり刺青のある公務員を、大阪市の元橋下市長が(解雇出来ずに)悩むような現状があってはならない。
誰しも神様ではないから、社会に与える影響や結果を読み切れず、一旦は非正規の制度を政府が公認したのは仕方がない。けれどもやってみて間違いに気付けば、先の代案の対策も考慮に入れて、速やかに廃止をすべきと私は考えている。
それらをやっても、なおかつ利益を上げられず経営して行けないような企業なら、市場から潔く去ればよい。非正規労働者という人を喰うような事をしてまで、生き延びる必要はあるまい。




