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明石海峡大橋

17.明石海峡大橋


 貴方が材料力学の知識を知らなくても、3m位の鉄橋なら作れるでしょう。けれども同じ強度の鋼材を使って長大な明石海峡大橋を作ろうとするなら、材料力学の知識を活用しなければ出来ない、のと似ています。「(無意識に)思う事」の「技術」をちゃんと習得しておくのと、知らないのとでは、鉄橋のサイズのように、生涯のスパンで見ると大きな差が生じます。技術を利用しない手は無い。


 世間では起業家育成がはやっていて、専門コースがある大学もあるようです。資金調達法やマーケティングの手法などを中心に指導されるようです。しかし私に言わせれば、起業家に必要とされる最も重要な資質の一つは学問や知性よりも、ただ一つ「強い思い(念願)」を「持続させ続ける」精神力の持ち合わせこそが、大事と考えています。

 資金やマーケティングや経営力や、序の事に幸運は、「強い思い」に後から勝手に「追従して来る」ものでありましょう。私の人生がそれに近いものでした。


 刻苦・勉励・努力せよという言い方はしない、むしろ人生は「思うように・望むように」生きなさいと言いたい。思う通りに実現するし,念願した目標通りに達成します。ただここで注意すべきは、「思う(=念願する)通り以上には実現しないし・思った通りにしか実現しない」点をも、忘れてはいけないでしょう。人生にタナボタは起きないし、ラッキーも無い。ただ、在るのは「人の思い」だけ。強い「思い」があれば、タナボタもラッキーも「拾う」事が出来ます。


 人生には、「思い」一つで「個性溢れた芸術作品」を作り出すような面白さがあります。「何も思わなければ」、何も起きないし何にも到達出来ない。思わなければ,年月は淡々と無為に流れ,山も谷も無く安全かもしれないがドラマも無く,結果として人生という芸術作品の感動も味わえない気がします。


 若い人達へ芸術作品を描くのに、私は絵筆を扱うコツを教えたいと考えています。多くの人が「思う事を自ら放棄してしまい勝ち」なのが気に掛かります。自分の絵筆を、他人や上司や親の手に預け勝ちです。自分の人生を他人の手が描くなんて、どんなにつまらない事かーーーと私は思う。


 歴史上の成功者或いは起業家として評価の定まった人物として、(判り易い例を挙げれば)織田信長やビルゲイツを思い起こして下さい。それらの人物の天才振りや幸運を書き立てる書物は数多い。けれども、同じ天分とチャンスに恵まれても、誰もが信長やゲイツにはなれない。それは何故か、何処が違ったか、とは書いていない。違いはただ一つ:「(内部の)強い思い・願い」が有るか無いか。これは蛋白質や化学物質を集めても生命を作れないのと同じ。


「我『強く思う』故に、我が人生あり」(現代のデカルト)



比呂よし



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