「思い」にハマル
14.「思い」にハマル
以後は「思う事」の神通力の利用法として,余興もやってみました:「思う事」一つで自分の体重を十キロの単位で上げたり下げたりする実験も行い、半年の単位があれば自由にコントロール出来る事が判り、理論の強化に役立ちました。でも残念ながら、頭髪の実験は失敗。今も禿げたまま。遺伝子はコントロール出来ず、この点は親を恨んでいる。
「強く思う」にはあれこれ複数ではなく、「一点に絞って,集中して思い詰める」事にしています。どうやらこれがコツです。
神通力にハマッタ私は、これが他人に対しても応用が出来ないかと大胆に考えました。「強く思う」行為を他人に移入させる実験です。私一人が「驚きとしか言いようのない効果、全身に活力が湧いてくる!」なんて、健康食品の宣伝文句みたいな事を言っても、「そりゃ、お前の独りよがりだろう」と言われちゃ、それまで。新しい考えを見つけて歓び、熱中するだけでは科学的とは言えません。
第三者の他人に「(ルールを実際に適用してみて)同じ事をさせて・成功して見せて」、初めて客観的に評価され信頼性が確立するというもの。これをやってみることにしました。こっちはエンジニア、曖昧さが嫌いで科学が好きなのです。
やってみると言っても、誰か赤の他人へ「XXXを強く思いなさい」→「はい、思います」という訳には行かない。
この時既に会社を作っていたから、考えた末、複数の社員達を被験者に選んだのです。彼らは被験者にされたのに気づかなかった。正しく言えば、気付かれないように私が実験を進めたからです。何も強制しなかったから、夢にも気付かない:
しかし、私が社員達へどんな策略を繰り広げたかの具体的な手法については、(先の「亀が空を飛ぶ法」(前編)の「魔法使い・最も奇妙な定理」の項目で、数ページに渡って詳述しましたから)ここでは省きます。
ですが、要するに彼らに(本人に悟られないようにして)「ある特定の製品を『(恋人のように)大好きにならせた』のです。結果として先の私が「D製品ばかり売った」のと、そっくり同じ現象・状況が社員達の間で「再現」しました。この結果は見事なものでした。最も価格が高くて売り難い「特定の製品」が、「最も数多く」売れるようになった。実験は成功です。




