「思う事」の実務編
13.「思う事」の実務編
次に大事なのは「何を思うか」になる、と私は考えました。当時足りていて、当分新しい彼女は要らない。そこで考えた末、代わりに勤務先の会社を「乗っ取る事」を思いつきました。「思う」ルール適用の手始めの仕事として、一番簡単だと考えた。何せ私は社内で売上No.1セールスマンを張っていたし、上役はボンクラだと考えていたから、「思い」は直ぐに実現する筈でした。
上役には迷惑な話ですが、ヘビに見込まれた不幸なカエルみたいなもので、こっちがそう「思ってしまった」のだから、仕方が無い。やる事はただ一つ:「乗っ取り」を「強く思う」事をスタートさせました。さて、何が起きたか?
正直に白状しましょう、「手違い」が起きました。いや、ルールが間違っていたせいではなく、私のちょっとした不注意で、「こっちの思い・乗っ取り」が露見してしまいました。会社は腰を抜かして仰天、即座に解雇。「思い」は修正を加えて、初めからやり直しとなったのです。
結果として二年半掛かりましたが、相当する会社(つまり「同業社」)を作ったのです。そっくり「乗っ取り」という訳には行きませんでしたが、間接的に乗っ取ったようなもの。元の会社は業績を落とし、こっちは市場を奪い取ったのですから。初回の「思う」事のルールの実験は、採点すれば八十点の成功。
次に、これは先の「乗っ取りの思い」の中に部分として含まれるが、日本に拠点が無い「海外の会社W社」を日本に引き入れようと、策略した。絶対にそうすべきだと「強く思った」のです。早速私は配偶者を説得してドイツまでの往復航空運賃を出させ、紹介状も相手の了解も無しに、いきなりドイツのW社まで単身乗り込んで行きました。嫌がって渋る相手の重役数人を前に、「強い思い」で強く説得:
「日本へ進出しなさい! 来年ではなく、今直ぐにだ」
こうして私の「思い」は、先の「同業社の設立」として「思い通り」に実現しました。一点の間違いも無い。
成し遂げられた結果だけを眺めて、「(前の会社を解雇されて、それだけの事でドイツまで出かけるなんて)凄い!」とか、「(同業会社の設立は)シンデレラの幸運を掴んだ!」と人は言います。なに、こっちは「そのことばかり、強く思っていた」だけ。ルールの持つ神通力で、「思った通り」に実現し、今の会社があります。「思う事」は百パーセントぴったり成功。
設立した会社はスタート当時業界6社中の最下位。私は強く思った:「業界でNo.1になる」。寝ても覚めても「思い続けた」。この達成は意外に易しく、一生までの年月は掛からず、数年で「思い」を遂げました。




