バタフライ
++++販売価格が髙いほど会社が長続きするというのは、一般の感覚(=量販電気店やスーパーマーケットでは、安いものほど沢山売れるという心理)に反するように見えるが、先のカラクリに拠るからだ。
5.バタフライ
「価格の高い商品を売る」のにプラスして、もう一つ心掛けている事がある: 出来るだけ「売り難い」物を選んで売る。言い換えれば、人のやりたがらないのを敢えてやる。こんなエピソードを紹介したい:
私は以前から、週に二日ジムに通っている。鍛えるよりも、健康のため。十年程前になるが、プールでクロールとクイックターンのやり方を、若いインストラクターに教えて貰った事がある。彼女はバタフライの達人で、この種目で国体にも出場した事があった。一度尋ねた事がある:
「なぜ、バタフライなのか?」
「選手で、クロールや平泳ぎをやる人は多いわ。人気種目よ。反対にバタフライは泳ぎがスマートでなく格好も良くないから、敢えて選ぶ人は少ない。選手が少ないから、「ちょっと頑張れば」一番になれるのよ」
「よく考えたねえーーー、君はエライよ!」
これは、ウチの会社のやり方と同じ。「売り難い」製品を売る販社は、数少ない。ウチが「売り難い」のは、実は競合他社にとっても大変「売り難い」訳で、敬遠する。だから「ちょっと辛抱強く頑張れば」業界で一番になれるーーー。
実際一昔前までこれを扱う販社は四社以上あった。今生き残っている(=利益を上げている基準で言えば)のは、ウチだけ。他社が撤退したり縮小したのは、需要が無くなったからではなく、ひとえに「売り難い」為だけ。