三則を選ぶ
++++「少年よ大志を抱け!」も、その後に続いて「ーーー年寄りの私のように」と付け加えれば、何やらユーモアを感じるではないか。老人は「大志」の専売特許のようだ。今回はこれに似た話:
2.三則を選ぶ
ビジネスマンなら、電通※の 「鬼十則」を知っている人もいるだろう。電通とは業界最大手の広告代理店で、最近そこの新入女子社員が、過剰な残業を強いられ鬱病に罹り、自殺した事件が報道された。これが為に、目下世間の批判を浴びている会社である。けれども、今回の話は、そんな事件とは何ら関係が無く、誰かを擁護しようという意図も無い。
(※電通: 広告代理店として単体で世界最大の売り上げ規模で、年間2兆円を超える(2008年)。国内二位の博報堂の売上げの2倍と名実ともに日本最大で、圧倒的なシェアで「広告界のガリバー」の異名を持つ。Wikipediaより)
昨今は、仕事とは「軽やかにスマートにこなす」のが「素敵!」と言われる時代だ。が、私が若い頃は「仕事の鬼」と聞けば、「スゲエ!」と尊敬されたもの。先の「鬼十則」とは、「仕事の鬼」であった電通四代目社長吉田秀雄が作った当時の(或いは、現在もか?)電通社員の行動規範である。なかなか立派な「仕事の心構え」で、何時の時代でも、つまり今の若い人達に対しても、充分有効だと思う。
下記は、「鬼十則」の中から取り敢えず三則を選んだ:
一則:仕事は自ら創るべきで、与えられるべきでない。
二則:仕事とは、先手先手と働き掛けて行くことで、受身でやるものではない。
三則:自信を持て。自信が無いから君の仕事は、迫力も粘りも、そして厚味すらがない。
どうです? 「ズシーン」と響く言葉ではありませんか? 上の三則の中で「仕事」の言葉を「人生」と置き直して御覧なさい。例えばこうなる:
「人生は自ら創るべきで、与えられるべきでない」
そうーーー、人生は(自ら筆を持ちキャンバス上に描く)芸術作品の筈。他人に描かせてなるものですか!
先の三則は人の「生き方」を示している。「仕事」を抜きにした人生はふつう存在しない訳だから、仕事と人生は表裏一体。そう考えると、言葉が迫力を以って迫る。 若い時分これに接した時、強い感銘を受けた。人生を模索していた私にとって、「凄い言葉」に映った。くそ真面目だったから、「鬼十則」を実行しようと心がけた。(サラリーマンとして)出世したかったからだ。