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長生き出来る

++++プール付の自宅を建てなくても構わないじゃないかというのと同じ。拡大主義は会社の為(或いは、社員の為)というよりも、半分以上経営者の「個人的な趣味よ」、と言って彼女は憚らない。


10.長生き出来る


 ついでに、女はこんな事も言う:


 日本の人口がどんどん減少して大変だと、みんな大合唱で心配している。けれど、皆がそう言っているから正しいとは限らない。人口減少は本当はとても「幸せな事」なのよ。理屈はウチの会社と同じ。人が多いから最貧困に堕ちる人も多くなる。少ない人で同じ生産をやれば、給料(利益)は増える。人口が減れば住宅も一人当たり広い土地を買えて豊かな気分になる。道路も空く。不便な過疎村へ、お金の掛かる道路を通す事もない。会社で言えば、経費が浮く。


 買う人が減って、トヨタの車の売り上げが落ちて大変というなら、一台の値段を高くすりゃいい、高くて買えない人は買わなくてよい。ウチの会社と同じで、売り上げ数よりも「利益が大事」よ。

 日本の人口は馬鹿々々しい程多すぎる。人が多すぎるから人に見飽きて、隣近所でも不愛想となる。寂しい位に人が減れば、隣人と半日でもおしゃべりをするわ。運転手の数が足りなくて、バスが二十分毎に来なくても、一時間に一本でよいじゃないの。宅急便が次の日に着かないと言って、せかせかする事は無い。人の幸せは、せかつく事じゃないわ。


 私はそれを聞いて、感心する。しわの数は同じでも、男女で幸福の優先順位は違う気はする。兎も角、経営方針が変更されて以来、一部の大学に利益の一部を還元・寄付(=特定の分野の研究に限るが)するようになり、役に立つ工学技術書を発掘しては、取引先へ定期的に無償で配布するようになった。ボランティアみたい。


 社の倉庫内に、(ウチの商売の分野に関係する)実験室を作って開放し、顧客の研究に供する(=無論、有償)ようにした。物を右から仕入れ左へ売って、利ザヤを稼ぐだけのやり方を改めた。結果、零細会社だのに今や多くの顧客から沢山の信頼を得ている。

 という訳で、「婦唱夫随」で、毒殺による「殺し合い」を避けつつ、何とか家庭も会社も平和裏に過ごしている。騙されたと思って、「婦唱夫随」を、やって御覧なさい。 男も会社も、きっと長生き出来るに違いない。


比呂よし




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