結婚しない女
++++老後の男で、これくらいの言語が駆使出来ないようなら、何の為に長い人生を生きてきたのか分からないではないか!と諸氏に申し上げたい。
7.結婚しない女
こんな事を言われる事もある:
「今度生まれ変わるとしたら、貴方と結婚しない、絶対に!」
この歳で「絶対に!」と念を押されると、結婚生活の総括をされた訳だから、ショックでない夫は居ない筈。不倫も浮気もめったにやらず、何もばれなかったと思うのにーーー。もう挽回の余地が無い時期だから、最高裁で判決を聴くようなもの。こっちが鼻白んでいると、女裁判官が付け加えた:
「誰とも結婚しないわ。誰かと恋愛はすると思うけれどーーー」
これでは、励ましてくれているのか、クサしているのか分らない。
「今の時代でも、女にとって結婚はハンデが大きいわ。(男に頼らず)自力で人生を、好きなように生きて見たかったのよ。貴方が出来たんだからーーー、私なら『もっと上手く』出来たと思うわ」
「もっと上手く」なんてーーー。人はあんまり身近に居ると、「偉く見えない」という一般的原理がある。アインシュタインの奥さんもそう言っていたから、私が「偉人に見えない」のは仕方ないとしても、一般の男よりは「マシ以上」なのに気付いて欲しいものだ。
考えてみて、私は今まで「自分の好きなように」生きて来た気がする。大抵の男が、大なり小なりそうだと思う。何やかや言いながらも、やはり依然として男優先の社会だから。言い換えれば、女は「(男への)助力者・アシスタント・添え物」として生きて来て、人生の主役ではない。彼女が不満を言うのは、ここだろう。
子を産むのは女の仕事、だから男の添え物で構わないーーー、これが「内助の功」だと言えば何か納得が行きそう。が、よく考えてみると、これは(男側に都合の良い)不公平かも知れない。
それにしても、「自分の方がもっと上手くやれた」・「貴方とは結婚しない」・「(女医になる程)値打ち物の女」と言い聞かされると、相手に多少の誤解があるとしても、何やら女に申し訳ない気もする。「女を満足させるのが男の甲斐性、セックスも含めて」という位ですからな。
これらの対話が切っ掛けとなり、セックスにも自信が無かったから、試しに「人生の表舞台」を女と交代してみようと考えたのは自然な成り行き。明治維新の大政奉還みたいなもの。当時丁度ソビエト連邦が突如崩壊したのと時期が重なり、これも交代の追い風となった。
話せば短い事ながら、こうして爾来( じらい)先の「婦唱夫随・女優先」が、新ルールとして当家に定着した次第。だから結婚当初から適用されていたルールではないが、もう十年以上になる。




