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おおむね潰れはしない

++++結局振られた。ショックで、仕方なく突っ張りを外したら屁が出て、空気が抜けたみたいになって、元の木阿弥に戻った。


2.おおむね潰れはしない


 昔悩んだそんな自分の性格だが、この歳になって来し方を振り返ってみる時、「心配性なパラノイア」は経営者に一番ピッタリで「恵まれた」性格と知るようになった。例えば、月半ばで当月の売上げ額が予定より少なそうだと気づくと、残り未だ半月余りあるのに、四六時中その事が心配で堪らず気になり、会社が今にも潰れやしないかと大袈裟にため息をついてーーー、となるのが今の私。


 そこで売上増を狙って、何か業績の建て直しの対策を考える。不良社員を最下位から順に首にしようかと、パラノイア流の陰湿なネチネチさでアラ探しをして、嫌がらせをする。なに、外の会社なら格好良く営業会議と称しているが、結局は吊し上げるやつだ。かくして、何の対策がどう効果を発揮したか、それとも全てが無効だったか、大抵は大した理由もはっきりしないままに、残りの半月で見事に会社の業績は上向きに転じる。


 これを大なり小なり繰り返して、設立以来三十数年となっている。こんな風に心配性全開で事前に手を打ってやっておれば、会社というのはおおむね潰れはしない。


 他方、何処かの大手の会社では、一年間放置しておいて決算期にフタを開けてみたら、何百億円かの大赤字となっているのが判明。さあ大変だ・これから赤字削減・コスト低減・何百人の人減らしだと、慌てふためいているのがある。どうして一年も待たずに、つまり半月目にそんな事態が判らなかったんだいーーーと私なんか思ってしまう。昨今の東京都の豊洲移転問題と似ていて、無責任というやつだ。


 そんな会社の経営者は多分、「細かい事が気にならない性格で・豪放磊落で・夜もぐっすり眠れる『男らしい』」タイプなのだろうか? これを見ると「豪放磊落・さっぱりと・男らしいーーー」なんて人は、裏を返せば要するに「無神経・鈍感・おおざっぱ・サルみたいーーー」と、バカの代名詞みたいになってしまう。


 三十数年のウチの実績から見れば、「ネクラで・神経質で・気の小さい」自分のような反ダンデイーな性格は、実を言えば経営者向きの「貴重な資質」なのかも知れない。これは確信に近いから、「自分は稀に見る天才じゃあるまいか!」と思うようになった。歴史に名高い織田信長も神経質で猜疑心に富み、私にそっくりだったと聞くじゃないか。


 こんな自信を背景に、最近の私はミスを犯した社員をこう叱る:「君はどうして、XXXが起きるかも知れないと事前に心配にならなかったんだね? それが気にならない神経の「図太さ」は、犯罪でさえある!」



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