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女の応募者

2.女の応募者


 さて、こんな中に女の応募者が一人混じって居た。 36歳(後で推測して、多分独身)。ウチでは、重量で約十四・五キロのゴツイ機械工具を販売する仕事なので、同業他社も含めて業界に女性営業マンというのは、現時点で一人も存在しない。つまり男の世界。だから、女が「応募する事」自体が少し目を惹く。が、私は元来女が好きであるし、社内でも男女の差別をしていないので、いつも通りの手続きで応対し、彼女をのけものにしなかった。


 そう期待したのに、メールで行った筆記試験の結果、得点が二十数点で基準の六十点に達せず、面接にさえ進めなかった。私は少し残念に感じた。他の(男の)不採用者達に対するのと同じように、答案の不充分な点を具体的に指摘し、採点結果を添えて不採用通知をメールで送信した。

 だが、通知を受け取った女は、他の不採用者とは少し違った反応振りを示した。。


 長文の丁寧なメールを寄越したからである。以下は原文:

「不採用の結果は残念でした。けれども、貴社へお礼を言います。 今まで40~50社へ応募しましたが、不景気で何処にも採用されていません。 応募しても返事さえくれない会社もあり、大抵は追い返すみたいに書類選考ではねられて、はねる理由もはっきり知らせてくれません。


「それだのに、貴社だけは正面から私を受け止めて、筆記試験を受ける機会を下さり、採点結果も教えてくれ、その上どの点が不足だったのかを親切に指摘してくれました。的確な指摘に私は自分の甘さに気付かされ、納得が出来ました。これは今後の私の就職活動にきっと役立ちます」


「貴社には恐らく沢山の応募者が今もあるでしょうに、それだけに人事課長さんは大変忙しいと思います。そんな中で、一々このように丁寧な応対をして下さる。 こんな親切な会社が世の中に有るなんて、生まれて初めて知りましたーーー」

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