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張り合いが無い

++++銀行数社がウチへ来訪した。そして展示会の事を「教えてくれた」。だから、「ああ、張り出されているのかいなーーー」と思っただけ。


2.張り合いが無い


 ロビーか、それくらいな処に籍を置かないとと、こっちも巾が利かぬと思っていたら、いつの間に「張り出し」の風習は中止となった。代わりに「感謝状」が郵送されて来るようになった。ロビーの代わりらしい。多分、「展示会」を種にいちいち銀行が訪ねて来て、「融資してやろうじゃないかと、うるさく脅す」と、ウチと一緒に(展示された会社の一部が)苦情を言ったに違いない。

 銀行というのは基本的に、金を貸して欲しいと願っている貧乏会社にはビタ一文貸さず、優良会社で金が有り余っている会社へは、大いに貸したがる性質がある。


 数年前になるが、ある時一度だけ税務署が血相を変えて(?)、突然アブノーマルな時期に監査に来訪した事がある。血走った眼で隅々まで徹底して調べてくれたが、何も出ない。「アソコは、盛んに脱税している」と、誰かのタレ込みがあったらしい。だから、心拍数を上げて税務署がやって来たわけだ。


 あくる日まで掛かって調べた挙句、署員は吐息をついて「実に、綺麗なもんですわなあ!」と帳簿を眺めて感心した。こっちは訳が分からず、「一体何があったんですかいな?」と怪訝な顔を向けると、苦笑いするばかりだった。


 それでピンと来た! 当時、地方出張所の営業員Tが「使い込み」を働いたので、損害賠償でウチは裁判に訴えていたのだ。訴えられた腹いせに、出鱈目を税務署へ「ちくった」らしい。しょうの無いヤツだが、悪事をやる人間は技を磨くためか、重ねて悪事をやるのが商売なのだ。


 そんな事もありながら、税務署との付き合いは長い。

 けれども、もう5~6年以上になるだろうか、税務署は一向にやってこない。余りに来ないので、ウチの専属の税理士も「他社に、例の無いケースだ!」と首を傾げて呆れている。「アソコは無色透明だから、監査に行っても仕方が無い。出世の足しにならん」と思っているらしいーーー、のが分かる。


 相変わらず、ウチは脱税も節税もやっていないから、顔を合わせてもほのぼのとした気分を味わうだけで、ウチも税務署も張り合いが無いようなものだ。


比呂よし



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