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◎第二十話: 「税務署」の話

第二十話:「税務署」の話


 ウチの会社は、毎年多額の「法人税」を支払っている。数千万円になる。毎年利益を出すから、毎年支払う。

 財務を担当している私の配偶者が、超真面目人間だから脱税をやらない。多分節税もしていないのだろう。何もやらないから、因みに、会社では二人の所作はよそよそしく、互いに夫婦めいて見えない。赤の他人と映るから、昔一度顔の好い男が入社した途端、早速配偶者にモーションを掛けて来て、彼女に金ケリでキャンと言わされた上、即お払い箱になった。ウチでは、油断は禁物だと強調しておきたい。


 脱線しかけたが、交際費も食事代も散髪代も、元都知事の舛添さんがやっていたみたいに、会社には付けない。ピカピカでどこを舐めても病気にならない位に、ウチの経理面は透明でガラス張り。これが世間では珍しいようだ。なに、私が付けないのは、いちいち領収書を貰うのが面倒だからだ。


 これは何も(ウチが優良会社だと)自慢をしている訳ではない。脱税なんてそんな小細工をするのが「面倒くさい」のだと、欲の欠乏した経理係が言うから、その辺りは似たもの夫婦だ。

 その分、私の小遣い額を増やしてくれると「面倒くさくなくて好い」と思うのだがーーー。あっちとこっちは、違うらしい。


 会社設立当初は、もう三十年以上になるが、税務署が1~2年に一度のペースで監査にやって来ていた。脱税などの不埒な行為をやっていないか、帳簿をチェックする為だ。結果、毎回何も悪事が出てこない。こんな時彼らはあからさまにガッカリするから、こっちは何か申し訳ない気がする。きっと、悪事を見つけたら手柄になって、出世に役立つのかも知れない。


 ウチは過去に数回、「優良納税会社」として税務署のロビーに社名を張り出された事がある。暇が無いから、自分の目でロビーまで確かめに行った事はないのだけれど、そこで社名を見たのだと言い、(だから)「融資をしたい」と言って、大手の都市銀行数社がウチへ来訪した。そして展示会の事を「教えてくれた」。

だから、「ああ、張り出されているのかいなーーー」と思っただけ。



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