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花盛りの離婚

7.花盛りの離婚


 とまあ此処まで書けば、本稿は「だから現代の若い者は、辛抱も根性も足りん。ワシらの若い頃はーー」の結末になる、と年配の読者なら予想するかもしれない。が、あにはからんや、私の向かう処はやや違う。


 その前に、若い人の離婚問題に目を向ける。

 昨今は三組に一組が離婚する、と配偶者が私に教えてくれた。未だ離婚されないお前さんは幸せだ、と言わんばかりの口調だ。周りを眺めても:

 先ず、私の配偶者には30数年来気安く付き合いっている親しい女友達がいる。この彼女には30代の息子夫婦が居るのだが、この夫婦は「妻の浮気」が露見して、家庭内別居の進行中だと聞く。離婚は時間の問題と思う。夫の浮気は(謝れば)案外許されやすいが、妻の浮気を知って我慢の出来る夫は極めて稀だからだ。

 因みに、ヒキガエルのように横幅の大きな女らしいが、よくそれで浮気が出来だものだ。

 次に、配偶者の行き付けの美容院のやっぱり30代のオーナー夫婦は、店の女に手を付けた夫の「浮気が発覚」して、離婚訴訟中である。こんな場合、大抵の妻は我慢出来ると思うのに、離婚に持ち込むのだから例外的なケースに違いない。

 私が親しくしている女友達の「33歳バツイチ子持昆布」へ、「なぜ離婚したのか?」と訊くと、気の抜けたサイダーみたいな返事を返した:「(夫が)臭い靴下を脱ぎっぱなしにして、幾ら言っても聞かず、片付けなかったからよーーー」。


 女は最初に軽蔑を抱くと容易にそれを悔い改めないものだ。終に憎むに至り、別れないでくれと半泣きですがる夫に見向きもしなかった。油断して向こうを向いた隙に、相手の背中を元気よく蹴飛ばして五年前に離婚した。その時に幼子が居たのに、勇ましい女ではある。が、私は勇ましいのが好きなので、後を引き受けて付き合っている。

 それにしても、打ち捨てられた夫は今頃どうしているんだろう?

 この彼女の同い年の女友達にも似たのが居る。「夫に騙された!」と喚いて、つい最近の事だが一週間の短期決戦で手際よく二回目の離婚をまとめ上げたのは、流石に手馴れている。離婚を大量生産の為の生産性向上の一つと考えているらしいから、げに恐ろしい。こういうのを見ていると、誰しも女と結婚するのにためらうだろう。


 更には、先の「バツイチ子持昆布」の二つ年上の姉夫婦も、夫の酒乱が原因で現在離婚へ向かってまっしぐらだと聞く。離婚の確度は99%以上とくるから、姉も「臭い靴下」で離婚を決行した妹を見習っているのだろうか。

 現在のウチの社の背の高い美人秘書だって、例外ではないようだ。この私が引け目を感じる位にハンサムな夫持ちだのに、最近社員らと一緒に食べに行った焼肉屋で、私の隣に座って密かに告白したが、離婚の機会を窺っている気配濃厚だ。 給料を上げてやったら自活出来るようになって、直ちに離婚を決行しそうな雲行きだから、この為に上げてやる訳には行かない。


 こんな風に、どれもこれも不思議に皆30代で、身の周りは離婚と予備軍が花盛りである。私一人の担当分だけで先の通りだから、読者の身の回りの数も合わせると、軍隊が出来るほど多かろう。 私の若い頃には、知り合いの離婚など耳にする事がなかったから、正に隔世の感がある。

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