第六百十七:泰子さんの話(514) ★仕事のやり方(3)
第六百十七:泰子さんの話(514) ★仕事のやり方(3)
諸問題の中で経営者が一番に留意すべき点は、社員の「不平・不満」を解消するか、或いは最小限に抑える事だと言っても過言ではない。実際私は会社設立以来何時も念頭に置いて苦慮し、また工夫している。時に日経新聞を読んで他社のアイデア活用する事もある。この問題の解決は易しくはなく、完全な解決案は見つからない。少しでもベターな方法を選ぶように努力している。
経験的に思うのは、職場の様々な不満の根源は、大なり小なり自分が「正しく評価されていない」と感じるせいではないかと考えている。
特に大会社となれば、個人が埋没しがちで少々頑張ったところで、大して目立ちはしない。人事評価は「仕事中おしゃべりばかりするAさん」と「無口な(仕事がはかどる)貴方」との間に、恐らく差はない。となると、貴方は不満になる。もし営業マンなら、「オレはA社との大型商談をまとめた」のに、他の営業マンと賞与が大して変わらないーーーとなると、矢張り不満となる。
大企業では、むしろ人事評価に目立った差を付けないのが組織の平安であると考えている上司も会社も少なくない。ヘンに評価に差をつけて部下に恨まれるのも・腐らせるのも、嫌だと考える。皆仲良くと人類愛を押し付けて来るから、こういう上司に当たると目も当てられない。
そんな環境下でひょっとして、むしろ先の(お喋りの)Aさんの方が貴方より早く出世するなんて最悪な事態も大いに起き得る。こうなる不満は頂点に達する。
つづく




