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第五百八十九:泰子さんの話(486) ★小説よりも (3)
第五百八十九:泰子さんの話(486) ★小説よりも (3)
それら優れたものもあるが、初めから読み通して平均的に感じたのは、書き飛ばしたものが多い。内容が良く練って作られてないのは残念だ。そんな批評をする自分が果たして一体どんな立派な文章を作っているのかと問われれば、全く自信はない。けれども上手な料理はよう作らないが、人の調理した料理を食べて上手い不味いか位は分る、と言えば許してもらえようか。
多分、書き手の皆さんはそれぞれの分野で著名人だから、時間に追われて忙しいのだろう。書き流した文を推敲する間も足らなかったのかと(善意的に)思うけれども、玉石混交で本の半分くらいは石というのは困る。年寄りにはあまり残された時間が無いのだから、読み無駄をさせて欲しくない。
そんな勝手な不満を言いながら、私はエッセイを読むのが好きだ。エッセイには言葉の端々に書き手の気持ちや考えが正直に現れる。ある意味で本音である。先に書いたが、父の手帳に残された日誌や短い書き物を読んで、身近に人としての「父を感じる」のと同じだ。
つづく




