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第五百六十:泰子さんの話(457) ★俳句作り(4)

第五百六十:泰子さんの話(457) ★俳句作り(4)


・老い桜 とし我と競うて 花開く (泰子)

  ★老人施設Dの庭には桜の大木が何本かあって、春に花が咲く。「こうなりゃ、花と長生きの競争だよ、泰子さん」で、一句。


・猛暑やな 老いばばウナギしょくして いざ銭湯へ (T女:84歳)


  ★同施設内のT女は数少ない泰子さんの友達で、泰子さんよりひと回り近く若い。施設の共同大浴場(無料)へ毎日夕方欠かさず自分の洗面器を持って浸かりに行く。一日の楽しみだ。誘われても共同浴場へは行かず、泰子さんは一人自室内のお風呂で済ますが、それも週に2回程度だ。歳を取れば「入浴もひと仕事じゃ、ヒロシ!」と泰子さんは言う。施設の夕食か昼食には時々蒲焼の出る事もある。それで、T女に成り代わって作句した。


 因みに、施設の自室で独り入浴する時には、浴室の入り口に付帯している赤いボタンを押して、事前にデスクへ連絡する決まりになっている。風呂から無事?脱出したらボタンをもう一度押して、生還を報告する。


 入居者の行動はいちいちスパイされており、仮に洗面所へ通じる短い通路を、日に一度も歩かないとすれば、係員が「すっとんで来る」。これを未然に防ぐには、這ってでも歩かないといけない。外にも様々高度なスパイ装置が部屋に隠されてあるが、メロンを大量に食べても警報装置が鳴らないのは、施設側の片手落ちだろう。


・蒲焼や タレは濃い目のダレに限るぞ 泰子さん (筆者)


  ★好き嫌いの激しい泰子さんだが、意外にウナギは好物だ。タレは関東風なあっさり味でなく、関西風のベットリ味が好み。平均して月に一度は西宮市にある専門店に一緒に食べに行くが、泰子さんに残念ながらそこは関東風である。気を遣って、帰る時にお土産の松花堂弁当を私の配偶者の為に作って貰うが、注文の時「一番高いやつ!」と泰子さんは大きな声で指定する。


つづく

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