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第五百五十九:泰子さんの話(456) ★俳句作り(3)

第五百五十九:泰子さんの話(456) ★俳句作り(3)


・里帰り 夏くさ軒まで迫る けなげな屋敷 (泰子)

  ★神戸に来る前に、泰子さんは岡山市の自宅を不動産屋へ売却していた。もう一年半前の事だ。先月用事があって、私は泰子さんに同行して岡山へいった。用事が済み時間があったので、泰子さんの元の自宅跡に立ち寄ってみた。コロナ禍のお陰もあってか、家は未だ潰されてはなかった。けれども、人の住まなくなった家は短時日の内に荒れ果ててしまう。


・夏草の めらめらと門跡包むや 岡山の家 (泰子)


・春が来た 初恋の味買う 施設の自販機  (泰子)

  ★D施設内に設置してある自動販売機で、泰子さんは定期的にリンゴジュースを買う。句を作るために、たまにはカルピスも買いなさいよ、泰子さん。


・進物用 大丸のメロン買いて へや独り食う (泰子)


  ★泰子さんのメロン好きは、ただ事ではない。ミカン・イチゴ・桃・バナナ・スイカ・梨・ブドウなどことごとく嫌いだから、偏食もここまで来ると極端である。となれば、俳句するのに季語に困るじゃないか。


 週に一ケ以上のメロンを食べ続ける、冬でも夏でも、安くても高くても。施設からは週一で、大丸デパート直行のミニバスの定期便がある。泰子さんの、メロン買い出し専用車みたいなもので、進物用売り場へ直行する。自分用に買って何が悪い!と泰子さんは言う。


 それでも、時に一万円近い高価なメロンを切り分けて独り占めで食べるのは、傍から眺めて何か淋しい。私は一句作った:

「デパメロン やっぱり淋しい 泰子さん」(ヒロシ)


・試しとて メロン加えしお好み焼き これまあ舌づづみ   (泰子)

  ★たまには、泰子さんはお好み焼きを自室で作る事がある。先に書いた通り、泰子さんはメロン気違いである。

        

・輪切りにし チーンと言わせて あつあつのメロン美味し(うまし)(ヒロシ)

  ★メロン気違いの泰子さんに合わせて、筆者も悪ふざけした。

    

つづく

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