第五百五十八:泰子さんの話(455) ★俳句作り(2)
第五百五十八:泰子さんの話(455) ★俳句作り(2)
泰子さんの句は概して観念的で、言葉遊びみたいなのが多い。日頃の「D施設内の生活を詠んでごらんよ」とアドバイスする事もある。何度か同じアドバイスをする内に、それなら、試しにヒロシも作って見よと言われた。
丁度会社が夏のお盆休み中で、外から電話も掛って来ない平和な事務所で電話番をしていた。ヒマを持て余し、泰子さんに成り代わって「D施設の生活に密着した句」を作って見た。案外スラスラと幾つか出来た。何せルール違反を大して気にしない私が作るものだから、当然の事に「五・七・五」にはなっていない。名句の積りではないが、泰子さん自身の立場に立って見て貰いたい:
・盆の夕 友子ただいま! 空耳か (泰子)
★友子は泰子さんの亡き一人娘。溺愛していたが、10年前に死んだ。今も、「友子・友子」と繰り返し私に語り聞かせる。
・盆の暮れ 出で来よお化けになりて なあ友子 (泰子)
★お化けであっても逢いたや。お化けだから「五・十一・五」でも良かろう。
・あかあかと 送り火照らし道なれば迷うことなし また来よ友子 (泰子)
★「五・十九・七」である。形式には拘らない。
つづく




