第五百五十四:泰子さんの話(451) ★ボランテイアの話(4)
第五百五十四:泰子さんの話(451) ★ボランテイアの話(4)
他方で私の場合といえばーーー、仕事が基本にあるから死ぬまで続けるとは思う。メインな趣味ともいえる。けれどもこれと並行して追加の趣味が先の「無償のボランテイア」である。配偶者の背中のマッサージを趣味と呼んで何が悪かろう! けれども過去の損得勘定とは随分と違う精神だから、なぜそうなったか自分の心の内を覗いてみた:
一つには歳が入ってから、身の周りに棲む知人の死が増えた事が最も第一に挙げられる。私の周りから、煙のように消えて行く。個人的であれビジネスの知人であれ、それらの人々は私と同年配であり、私を見知ってくれていた。それらの人達を次々と失いながら、しみじみと孤独を感じるようになった。
例えば会社には毎日接する社員達や取引先の(少なくとも私よりは)遥かに若い元気な人たちが大勢いる。大勢いても、淋しさが癒える事はない。その人たちは私と私が生きた時代を知らないからで、言えば同じ世界に棲む仲間ではない。毎日人とつながっていながら、いつも孤独な自分を感じるいわれだ。多分これは、私一人に限った事ではなく、歳が行けば誰でもそういう特有の淋しさを心に居抱いているのではないか。
つづく




