第五百四十一:泰子さんの話(438) ★介護施設と行ったり来たり
第五百四十一:泰子さんの話(438) ★介護施設と行ったり来たり
西神戸にある割に高級な高齢者施設Dへ、ほぼ半年前から泰子さん(=96:私の叔母)は入居している。それ以前は私が自宅の近所に保有するマンションで独り暮らししていた。徒歩10分だ。で、ここから施設Dへ引っ越したわけだが、私が放り出した訳ではない。
まだ足腰はしっかりしているしボケのある訳ではないが、マンションから近所のスーパーまで往復約1kmの毎日の食料品の買い出しが「おっくうになってきた」(本人の弁)からだ。これを眺めて私から施設Dへの入居を勧めた。施設は徒歩10分という訳には行かないが、私の自宅から車で20分程。
泰子さんにお金が無いわけではないから、買い物などを頼むのにヘルパーさんやシルバーさんの助けで、マンションで独り暮らしの継続が出来たし、私も当初そう考えていた。が、自立を好む泰子さんの性癖を改めて考え直して、ヘルパーさんを頼む位なら結果は同じだと思い、施設Dを勧めたのである。
泰子さんのプライドを維持出来るだけの高級な処で、それなりに入居金は結構な額だったが、本人が決めた。
入居して直ぐに死んだら別だが、高額だとしても基本的に入居金は戻って来ない。これ一つをとっても、私が泰子さんの遺産を狙っていない事の証明にはなるだろう。
つづく




