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第五百三十六:泰子さんの話(433) ★墨東綺譚の話(7)
第五百三十六:泰子さんの話(433) ★墨東綺譚の話(7)
今の歳になっても私は配偶者をとても好きで、若い時分と殆ど気持ちは変わらない。昔の恋愛時代の心情を今なお引きずっているからだろうか、外出先から家に帰るのが楽しみである。本屋で立ち読みした川柳「山盛りの 愛もいつしか ペッタンコ」のおかしさは理解出来るが、少なくともウチのケースではない。
若い時代の恋愛経験の有無が、その後の人生を大きく変革する要因になったとは思えない。出世を左右したとは思えないし、お金が儲かる訳でもない。
けれども、夫婦間の親しみ方において、父母よりも自分達夫婦の方が「豊かなもの」を持って居る気がしないでもない。これはお金よりも(多分、何よりも)価値があるかも知れない。
普段にそんな事は考えないけれども、同じ墨東綺譚を読んだ時に読後の印象が父とは180度異なる結果になるのだろうか、と思う。
お仕舞い




