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第五百二十七:泰子さんの話(424) ★やりにくい話(7)
第五百二十七:泰子さんの話(424) ★やりにくい話(7)
経営のノウハウは誰でもそうすれば「儲かる」とハッキリ分かるような北アルプス槍ヶ岳の頂上みたいな「仕組み」ではない。例えるならウチのノウハウの仕組みは「一体何処が頂上かいなーーー」と迷うような(とんがり部の無い)穂高連峰のようなものと言える。
また、先達の背中を観てコツを学ぶと人は言うが、「観て学べる」だけの経験と知性の下地に要る。経験の無い者が見たら誤解するだけで実害の方が大きい。部外者から見て分り難いそんなノウハウがウチには数多いと思う。それらが半分自動化されて機能している。
自動化で浮いた時間を利用して、夏場の昼間社長はキャンプ用簡易ベッドを引っ張り出して、ヒンヤリした倉庫奥の目立たない床に寝転がって新聞を読んでいる。ロクに働いていないようにしか見えない。社長の背中を観ていたら、寝転ぶのが「儲けるコツ」だと誤解して、実害が大きくなるだけだ。
つづく




