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第五百二十三:泰子さんの話(420) ★やりにくい話(3)

第五百二十三:泰子さんの話(420) ★やりにくい話(3)


 清貧ぶっているわけではない。起業した前後の時代には確かにお金が欲しかった。けれども、一緒に暮らす内に配偶者に感化されたか、お金に余り執着しないようになってしまった。元来宝石を収集したりブランド物で着飾るのが好きではない女で、外車も豪邸にも無関心。似た者夫婦で、要するに人生に対する「趣味の問題」である。この点は泰子さんと正反対だ。

 趣味が原生林の開拓となれば道具は鎌一本で良く、お金は要らない。外に大した趣味が無いから仕方がない。


 結果として利益は社内留保として積み上げられるが、その額も会社の規模から見て半端でないものとなった。大概の会社が本社ビルを新築するらしいが、所在地の岩岡村に高層ビルがそびえたったらイノシシとタヌキがびっくりするだけだ。そんな事よりも、考えが無くもない。貯めた資金で適当な小型の会社を買収したいと考えて、何時もタカみたいに目を光らせている。けれども、それが私の時代に実現するかどうかは未定である。

  

 歳だからそろそろ息子達に経営を譲りたいが、後を継ぐ者は少し辛かろうと思う。利益を落とせば「先代はやっぱり偉かった、二代目はーーー」と比較されるからだ。その意味で可哀そうではある。焦って何かオリジナルのヒットを放とうとして、反って不味い施策をやり勝ちだ。


つづく

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